共栄ニュース 2月号「X社の3S」
2025/02/03
X社は大手食品卸売事業者の構内作業を請け負っています。日々の業務の中で特に重視しているのが3S(整理・整頓・清掃)です。日本人の平均の探し物の時間は1か月平均76分と言われています。3Sを徹底することにより、探し物をする時間を減らし、ミスも事前に防止することで作業効率のアップを図っています。同社はそのために3Sレベル評価表を作成し、それぞれの項目について毎月5段階で評価を実施しています。
<X社の3S評価表>
■整理(必要なものだけを置く)
①作業場や通路部に不要な什器、備品や古いパレット、梱包材料を置いていないか
②所定の通路での商品の仮置きで入出荷作業に支障をきたすことがないか
③1年間まったく荷動きのない商品群は区分しているか
④オフシーズンの商品とシーズンの商品が混在していないか
⑤過剰在庫品(在庫回転率の悪い商品群)は区分されて置いているか
■整頓(誰でもすぐに仕事ができる状態となっている)
①品番の異なる商品は、パレットや容器、仕切りなどで荷崩れなくきちんと区分されているか
②ロケーションの表示は、分かりやすく、見やすいか
③ピッキングリストに表記されたロケーションに保管されているか、また棚入れミスはないか
④じか置きやラック・ゾーンで、品名、品番の表示が見やすいか
⑤バラ品、端数品は、とり出しやすい向きや荷姿で置かれているか
⑥在庫品は、いつも棚卸しがしやすい(計算しやすい)状態で置かれているか
⑦フリーゾーンや作業場に置かれた商品が特定の担当者にしか所在が分からないということになっていないか
⑧空パレット、空台車、空容器の置き場は決められた位置に正しく置かれているか
■清掃(職場内にゴミや汚れがなく、維持されている)
①結束テープ、ガムテープの切れ端や開梱後の空ケースが作業場や通路に散在していないか
②固定棚でバラ商品を汚すホコリが付着していないか
③パレットや台車の荷台、折りコン内はきれいになっているか
④場内通路の線はきれいではっきりしているか
上記評価表に基づき、本社の巡回担当者(役員)及び職場の管理者が毎月項目ごとに評価を行い、総合点でAランク(あるべき姿)、Bランク(今一歩)、Cランク(要改善)の判定を行っています。判定基準はAランクが各項目の合計平均点数が4.5以上、Bランクが3~4.5未満、Cランクが3未満となっています。同社ではAランクを1年間継続した事業所についてチーム表彰を行っています。
昨今、物流業界は人手不足に伴い、人件費の増加が経営上のネックになっていますが、その対策として最も重要視されるのが荷主企業への価格転嫁です。しかし単なる値上げ要請では、荷主企業の理解を得ることは難しいです。 運送部門も同じことが言えますが、荷主企業の理解を得る最大のポイントは品質の維持、向上にあります。日々の業務の品質の向上こそが価格転嫁の切り札とも言えます。身近な日々の業務の「凡事徹底」こそ経営の最大のミッションかもしれません。
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